お知らせ
10月消費者物価指数
●本日総務省は10月の消費者指数で生鮮食品を除く総合指数は前年同月比3.6ポイントの上昇と公表しました。この上昇率は1982年2月以来の水準です。
●10大費目指数の中で食料が6.2、高熱水道費が14.6、家具家事用品が6.9ポイント等目立ちます。これらの多くが輸入由来であること、その原料を使って製品を製造するメーカー或いは中間業者の介在・在庫がある事より、消費者物価への反映は遅れる事が容易に想像されます。従って今後も消費者物価指数の上昇が続くと覚悟せねばなりません。
●因みに1974年は、1年間を通じてこの指数が20ポイント超えていました。その前年秋に起こったオイルショックにより「狂乱物価」という造語が作られた年です。
給与所得者年末調整
●給与所得者が会社から各種控除証明や手続きを求められる時期ですね。1年間の所得税は年末確定します。年末調整は、毎月行ってきた所得税源泉徴収額を、この時期に社員から追加控除申告してもらうことにより(多くは取りすぎ)12月給与で差額調整し、会社として確定する作業となります。
●社員が会社に控除用エビデンスとして提出する書類は、従来からの保険料(生命、医療介護、年金)、地震保険料、住宅ローン控除の他、今年からは併用加入が認められたiDeCo(少規模企業共済等掛金控除)掛金等が見込まれます。
●外注で年末調整作業を行っている会社もある為、社員はネットを通じて年末調整を行うケースも多いでしょう。入力者にとっては、普段は見かけない語句による質問でYes/No誘導されること、且つ外注先ではエビデンス(紙)との目視照合や保険料計算代行をしている可能性も含め、Perfectになるのかなとは思ってしまいます。
●年末調整をすれば、払い過ぎた分は12月支給で反映されるのでCF効果は早いですが、最終は翌年3月確定申告です。本人自身で各項目を、その時、再確認する事が、より重要です。年末調整で提出した控除額、前年12月末での親・子を含めた扶養家族の変化の反映、年末調整ではできない医療費控除・ふるさと納税等の寄付金控除等の追加等があります。
資産所得倍増プランの危うさ
●金融庁は、NISAの抜本的拡充を軸に税制改革要望を挙げています。本年末に決定されていく予定です。
●日本の家計金融資産における2021年末の現預金率は54%と過去30年間横ばい状況が続いている(米国は13%、英国は27%)、株式と投資信託合計が家計金融資産合計に占める比率(2021年末)は日本が19%、米国54%、英国が42%等である、その結果相対的に日本の家計金融資産の増え方が小さい(過去30年間で日本1.4倍に対して英国2.3倍、米国3.4倍など)指標を示して、今後、日本でも投資で資産を増やしていけるように(資産所得倍増プラン)投資環境を整えている状況です。
●一方で本日報道されている記事には、①公的年金運用(投資モデルケースと言われる分散投資で)する(プロ中のプロであるべき)GPIFがリーマンショック以来の3四半期連続運用赤字②米国FRB報告書で米国債券の取引低迷やドル高を背景に市場急変動リスクが高まっていると報告③世界各国の利上げ姿勢に温度差が出てきているとあります。
●過去数年の市場の動きに比較し現在は既に変調がある中、プロでも投資利益を上げ難い環境で政府が箱を用意したとしても、我々は投資の本質や内容を勉強・理解し、自身の余裕資金の範囲で長期運用を行うべきと改めて感じます。目先では損する場面がありうるリスクについて、NISA運用を推奨するだけでなく、政府側は十分に説明すべきと思います。
物価見通し
●日銀は27-28日の金融政策決定会合で2022年度の消費者物価上昇率見通しを、7月の見通しから0.6%引き上げ、前年比2.9%とすると発表しました。
●黒田総裁は、上昇は一時的、大規模金融緩和政策を維持する、2%が展望できるようになれば出口戦略を示すとコメントしています。
●2013年にスタートしたアベノミクスの下、安定的持続的に2%の物価上昇率を目指す水準に、23年度生鮮食品を除いた予想物価上昇率1.6%とapple to apple で近づいています。
次に更なる物価上昇率を確認したら、当初目標達成したとして、金融緩和政策を辞められるという解釈になるのでしょうか。
国民年金保険料納付期間の延長案
●25日より厚生労働省は、社会保障審議会の年金部会を開き、国民年金の議論を本格化させ、保険料納付期間を現行の20歳以上60歳未満までの40年間から、65歳未満までの45年間に5年延長する案を検討するという報道があります。
●同日、厚労省HPに掲載されたの加藤大臣の発言を要約すると、①5年に一度財政検証を行うが令和6年に次期財政検証が行われることになっている②まだ現時点で具体的な中身が決まっているものではない③令和2年度年金制度改正法の検討規定に、被用者保険の適用の拡大の検討と公的年金制度の所得層再分配機能の強化の検討がありそれを踏まえる、ということになります。
●元々、年金額は人口動態を織り込み、支えられる人と支える人のバランス計算がされて変動します。企業の雇用確保努力義務が70歳がターゲットとなっても、保険料支払対象層を5年スライドさせないと、将来的バランスが保てるかどうかという検討がされるものと思われます。
●一方、年金保険は老齢年金目的だけでなく、遺族・障害年金という万が一の保険的役割を果たしていることも国民は理解し、民間保険との重複での無駄があるかを調べ、何を利用し、どのように、どの位老後資金確保すべきかを、個人それぞれの状況に合わせ、自己管理すべき時代なのだ思います。